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体外受精について

顕微授精法(従来法ICSIと新法Piezo-ICSI)

顕微授精法とは、なるべく形がよく運動性も良好な精子を厳選し、顕微鏡下でぺピット(直径0.01mmの細い針)にて吸引し、直接卵子に注入し受精させる方法で、細胞質内精子注入法(ICSI:イクシー)と呼ばれています。
現在、日本全国で出産される体外受精児の約60%はこの顕微授精による妊娠です。顕微授精は、男性因子により体外受精治療が選択された場合や、採取された卵子の状態が思わしくない場合、また、これまで複数回の体外受精で受精障害が確認された場合などに適応します。最近では女性が高齢の場合、精子の状態が良好でも受精率が高いことから、顕微授精を希望される方が多くなっています。また、複数個の採卵ができた場合には、念のためいくつかの卵子を顕微授精しておくことも可能です。

なお、体外受精当日に精子をお持ちいただけない場合、事前に精子を凍結し使用することになりますが、凍結精子を使用する場合は、所見に関わらずこの顕微授精を行います。

精子が良好な状態でも顕微授精を希望される場合、逆に所見が不良でも顕微授精を望まない場合(後述の「顕微授精の懸念点」参照)は、事前に担当医までお知らせください。

従来の顕微授精法:ICSI

従来の顕微授精法(ICSI)では、先端が尖ったピペットを用いて行います。ピペットを卵子に深く押し込み透明膜を破り精子を注入するため、卵子に対するストレス(ダメージ)を完全に避けることができない点がデメリットでした。

従来の顕微授精法:ICSI

新しい顕微授精法:Piezo-ICSI

当クリニックで行うPiezo-ICSIと呼ばれる新しい顕微授精法は、先端が平らなピペットを使用し、細胞膜を軽く押した時点で振動(ピエゾパルス)をかけることにより卵子へのダメージを減らすため、従来の方法に比べ明らかに受精率が向上します。

新しい顕微授精法:Piezo-ICSI

当クリニックでは、顕微授精はPiezo-ICSI(ピエゾ)法で実施

Piezo顕微授精法は、受精率が83%を超え(従来法は80%弱)、通常媒精法(受精率65〜70%)より良好な成績をあげています。そのため、特に高齢である場合や貴重卵子の場合などは精子所見に関わらずPiezo顕微授精法を推奨しています。

Piezo-ICSI

顕微授精の懸念点

現在、顕微授精で最も懸念されていることは、男性因子(男性不妊)の児への遺伝問題です。この遺伝子はまだ全て解明されていませんが、Y染色体上にある精子を形成する遺伝子に問題(欠失)がある場合、この遺伝子の問題が児へ伝播され、出生した赤ちゃんが「男児」であった場合には、この男児が将来、男性不妊になる可能性があるということです。男性不妊でない場合は心配ありません。また、顕微授精により児の男性不妊が突発的に起こるということではありませんのでご安心ください。

マイクロ流体技術を用いた精子選別

「マイクロ流体技術を用いた精子選別」とは、従来の方法と比較して精子のDNA損傷を極力抑えるようにして精子を選別する技術です。精子精密検査で精子DNA断片化指数(DFI)が高かった場合は、精子の質が低いと判断し本技術の適応となります。

【精子のDNA損傷】

精子の頭部には遺伝情報であるDNAが含まれており、最近の研究では精子DNAの損傷率が高くなると精子の質が低下し、自然妊娠や人工授精による妊娠の可能性が低くなることが判明しています。
また精子の質が低下すると、体外受精、顕微授精においても、受精率、良い胚盤胞になる割合、妊娠予後が悪くなる原因となります。
精子DNA損傷は、精子DNA断片化指数:DFIで評価でき、「マイクロ流体技術を用いた精子選別」を使用すると、DFIは13.4%から0.4%まで低下し、損傷精子の割合が極めて低い状態となることが期待されています。

【マイクロ流体技術を用いた精子選別について】

顕微授精において、ZyMōt(ザイモート)やレンズフックCA0に代表されるスパームセパレーター(マイクロ流動技術を用いた精子選別機器)は従来の方法と比較して精子DNA損傷を極力抑えます。それは従来の精子調整で行われる遠心分離や化学物質の暴露など、精子DNA損傷を起こす作業を排除できるからです。実際に当院で測定した精液正常所見の男性を含む20名のデー(下記グラフ)をご覧ください。Rawがもとになる精液、Op swim upが顕微授精における従来の精子調整方法となります。ZyMōtを使用する と、DFIは13.4%から0.4%まで低下しており、損傷精子の割合が極めて低い状態であることがわかります。

体外受精周期スケジュール
  • 「マイクロ流体技術を用いた精子選別」(ZyMōt)は先進医療に認定されています。
  • 費用については「費用について:先進医療費用」をご参照ください。

胚移植(ET)

受精卵を子宮に戻すことを胚移植といいます。初期胚の場合は4~8細胞期(採卵から2~3日目)、または胚盤胞(採卵から5~6日目)で移植を行うか凍結保存を行います。実際には患者さまと相談し、その時の受精卵の数と質により決定いたします。胚移植が初めての方、2回目の方は1個の受精卵を移植します。これは、多くの良好な受精卵を同時に移植すれば妊娠率は向上する一方で、多胎の可能性があるからです。
余った受精卵(余剰胚)は凍結保存することができます。
胚盤胞まで到達した受精卵の着床率は、通常の4~8細胞期の移植に比べ高い事は事実ですが、培養した全ての胚が胚盤胞になるわけではありません。そのため、移植自体が中止になってしまうことも考えられますので、複数個の良好受精卵がある(受精卵の選別を目的)場合にのみ胚盤胞までの培養が実施可能であると考えています。

4分割(採卵2日後)4分割(採卵2日後)
8分割(採卵3日後)8分割(採卵3日後)
胚盤胞(採卵5~6日後)胚盤胞(採卵5~6日後)
新鮮杯移植成績:2021〜2022
年齢 採卵周期数 移植周期数 生化学的妊娠 臨床妊娠 流産率
40歳未満 6405例 1203例 527例
(43.9%)
395例
(32.8%)
57例
(14.4%)
40歳以上 5389例 210例 73例
(34.8%)
36例
(17.1%)
16例
(44.4%)
融解胚移植成績:2022
年齢 移植周期数 生化学的妊娠 臨床妊娠 流産率
40歳未満 2859例 1781例
(62.3%)
1383例
(48.4%)
234例
(16.9%)
40歳以上 1423例 630例
(44.3%)
435例
(30.6%)
111例
(25.5%)
スケジュール
  • 現在の胚の状態を説明させていただき、移植する胚を決定します。
  • 胚移植は5分程度で終わります。
  • 移植終了後、すぐに帰宅することも可能です。翌日以降、過度な運動は控え、通常通りの生活で問題ありません。

丸の内院(火・木)、新宿院(月・水・金)は、夕方でも移植できる時間帯を設けております。

先進医療について

先進医療とは国が認定した保険診療と自費診療を同時に行うことができる(混合診療)医療技術です。

先進医療の種類
タイムラプス培養 Geriタイムラプスインキュベーターという培養最新機器を使用する培養です。皆さまにおすすめしています。
SEET法 胚盤胞に培養した培養液(SEET液)を凍結保存し、着床率の改善を目的に融解胚盤胞移植の数日前に子宮内に注入する治療。
2段階胚移植法 同一周期に時間差で2回移植する方法です。復胚移植不成功で、さらにSEET法の経験がある方のみ実施可能です。
マイクロ流体技術を用いた精子選別 DNA損傷の少ない精子を選別する方法です。
ERA検査 着床の窓(移植の時期)にズレがないかを確認する検査です。
EMMA検査 子宮内に存在する細菌の種類と量を調べる検査です。
ALICE検査 子宮内膜炎の原因菌を検出する検査です。
子宮内フローラ検査 子宮内に存在する乳酸杆菌(ラクトバチルス属)の割合を調べる検査です。
タクロリムス免疫療法 免疫抑制剤であるタクロリムスを投与する治療法です。
PGTA検査 体外受精によって得られた胚の染色体を、移植する前に事前に調べる検査です。
  • タクロリムス免疫療法、PGTA検査は、先進医療Bに分類されています。実施には細かな決まりがあり、希望される全員に実施できるものではありません。詳細は担当医師までお問い合わせください。
  • 助成制度(例:東京都では先進医療の7割を助成など)については「助成制度案内」を参照ください。
  • 費用については「費用について:先進医療費用」をご参照ください。

受精卵着床前検査(PGT-A)

PGT-A(Preimplantation generic testing for aneuploidy)とは、体外受精によって得られた胚の染色体を移植する前に事前に調べる検査のことをいいます。
受精卵着床前検査(PGT-A)は保険の適用がされません。本検査を希望される場合は、採卵から全ての診療を自費で行う必要があります。

受精卵着床前検査(PGT-A)の方法

体外受精を行い、胚盤胞まで成長した段階で栄養外胚葉の一部を生検し数カ所の細胞を採取します。採取した細胞を検査機関へ提出し染色体数を検査します。

PGT-A

A:栄養膜外胚葉(将来胎盤になる部分)
この部分を数カ所細胞穿刺し遺伝子解析を行います。
異常が認められた場合、この受精卵を使用しないことで着床率の向上と、流産率の低下につながります。

B:内細胞塊(将来胎児になる部分)

PGT-A

C:栄養外胚葉の一部を採取し検査機関へ

PGT-Aの検査対象は日本産婦人科学会が提示する以下の条件に当てはまる場合に限られています。

  • 胚移植を行い、2回以上不成功の既往がある場合
  • 2回以上の流死産(生化学妊娠を除く)の既往がある場合
PGT-A:正常胚(euploid)移植成績
年齢 移植周期数 生化学的妊娠 臨床妊娠 流産率
35歳未満 121例 87例
(71.9%)
79例
(65.3%)
11.4%
35〜39歳 133例 93例
(69.9%)
84例
(63.2%)
7.1%
40歳以上 87例 74例
(85.1%)
61例
(72.4%)
17.5%
検査について
  • 胚盤胞の状態が望ましくない(栄養外胚葉の細胞が乏しい場合など)場合、採取する細胞が少なく検査できません。また、採取した細胞の状態によって検査できないことや、検査結果が出ないことがあります。その場合でも費用が必要です。
    検査ができなかった胚盤胞が、異常であるということではありません。移植することは可能です。また、検査ができない胚盤胞について、凍結保存を希望しない(廃棄)場合は事前にお申し出ください。
  • 性染色体(性別)については、染色体に数的異常があった場合を除きお伝えできません。
  • 検査結果で異常があった胚盤胞も患者さまが希望される場合は、移植および凍結保存や保存延長は可能です。(保存期限を過ぎても更新手続きがされない場合には、破棄させていただきます。)
  • 検査結果が正常であっても、妊娠や流産の回避を100%保証するものではありません。一般の妊娠と同様に、異常がなくても原因不明の流産が起こる可能性があります。
  • 本検査は胚の栄養外胚葉(胎盤になる細胞)を採取し検査をするため、内細胞塊(将来胎児になる細胞)を100%検査することはできません。精度は99.4%と報告されています。
  • 当検査を希望される場合は、採卵前に医師への申し込みが必要です。申込書の提出をお願いしています。
メリット
  • 正常胚を移植できた場合は、妊娠率が高くなります。
  • 正常胚を移植できた場合は、流産率が低くなります。
デメリット
  • 正常胚がなかなか得られず移植まで時間を要する場合があります。
  • 実施できる方が現在は限定されています。
  • モザイク胚という、結果の判断が難しい場合があります。
PGT-A実施条件

実施には日本産婦人科学会の提示する条件があります。

  • 胚移植を行い、2回以上不成功の既往がある場合
  • 2回以上の流死産(生化学妊娠を除く)の既往がある場合

受精卵(余剰胚)の凍結保存

1回の体外受精で複数個の受精卵が得られた場合、余剰胚を液体窒素(-196°C)で凍結し保存することを胚の凍結保存といいます。もし、その周期に妊娠に至らなくても、次周期以降にこの凍結胚を融解し胚移植を行うことで、卵巣刺激や採卵を行わずに胚移植を行うことができるのです。一度凍結した受精卵は複数年の保存ができるため、第2子以降の妊娠まで保存しておくことが可能です。また、卵巣刺激により卵巣過剰刺激症候群となっている周期には、余剰胚をすべて凍結することで卵巣過剰刺激症候群の重症化を予防します。凍結保存による受精卵への影響は、凍結胚を用いた妊娠率が刺激周期の妊娠率と差が無いことから、ダメージはほとんどないものと考えます。なお、受精卵の凍結保存は技術的には数十年可能ですが、当クリニックでは毎年、更新の手続きをお願いしており、1年後に更新手続きがない場合には「更新の意思なし」と判断し自動的に破棄させていただきます。凍結胚は、毎年の更新手続きが必要です。

凍結融解胚移植について

凍結融解胚移植とは、体外受精や顕微授精で得られた胚を凍結しておき、採卵した周期とは別の周期に融解し移植する方法のことです。お預かりしている余剰胚の移植には、自然な排卵のタイミングにあわせて移植する「排卵周期での胚移植」と、ホルモン剤を使用することにより子宮内膜を整える「ホルモンコントロール周期(HRC周期)での胚移植」の2通りの方法があります。

排卵周期での胚移植

生理周期が順調な方に適しています。
通常の場合は、この方法で胚移植を行います。排卵日=採卵日と考え、凍結胚の融解日を決定します。つまり、凍結(日)が採卵3日後であれば、融解胚移植日も排卵の3日後という事になります。ただし、月経不順の方で排卵させるのに多くの注射等が必要な方は不向きな場合もあります。なお、その月の排卵が上手くいかなかった場合(非破裂卵胞)は中止となります。排卵周期で胚移植を希望する周期は、排卵予定の数日前(通常は月経開始日より12~14日目前後)に来院ください。半年以上あいている場合には、月経中に1度来院ください。

ホルモンコントロール周期(HRC周期)での胚移植

月経開始3日目からホルモン剤を使用することにより好環境の子宮内膜が作られます。結果として、排卵周期での胚移植よりも若干ですが、着床率が上昇します。しかし、内服やホルモン剤貼付など、ご自身で行う作業がやや複雑ですので、初回は排卵周期での胚移植、2回目以降をホルモンコントロール周期(HRC周期)での胚移植を行う場合が多くなっています。ホルモンコントロール周期(HRC周期)で胚移植を希望する周期は月経開始日から1~3日目までに来院ください。
生理周期が順調な場合は、排卵周期とホルモンコントロール周期に妊娠率の差はありませんでした。

融解胚移植成績:2022
年齢 40歳未満 40歳以上 全体
移植周期数 2859例 1423例 4282例
生化学的妊娠 1781例
(62.3%)
630例
(44.3%)
2411例
(56.3%)
臨床妊娠率 1383例
(48.4%)
435例
(30.6%)
1818例
(42.5%)
流産数 234例
(16.9%)
111例
(25.5%)
345例
(19.0%)
多胎数 13例
(0.9%)
36例
(8.3%)
49例
(2.7%)

黄体補充(高温期)について

胚移植終了後、高温期には着床環境を整えるために黄体ホルモンの補充(注射と内服、膣坐薬など)を行います。使用薬剤内容および回数は個人差がありますので、医師より説明いたします。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)である場合は注射により悪化の恐れもありますので、診察(エコー)を行いながら調整します。ご安心ください。

妊娠の判定

週数の計算は採卵日を2週0日として計算し、妊娠判定は4週0日(胚移植後、10~12日目頃)、出産予定日は40週0日とします。

体外受精における流産率と子宮外妊娠

体外受精における妊娠とは、妊娠反応(尿または血液)で判断する生化学的妊娠と、超音波における胎児の袋(胎嚢)を確認して判断する臨床妊娠をいいます。生化学的妊娠を妊娠とすれば、その後の流産率は約17%程度と考えられています。また、体外受精により出産された児の追跡調査では、流産率は通常の妊娠により出生された児と比較して、明らかに違いがあるとの報告はありません。今後、歴史を重ねることで、その詳細は明らかになる事と思われます。

その他、体外受精の子宮外妊娠の発生率は1~3%、正常妊娠と子宮外妊娠の同時妊娠という珍しいケースが0.1~0.3%程度あります。なお、諸種報告によると、体外受精による妊娠の場合、自然妊娠に比べ胎盤の位置が通常と異なる(前置胎盤)可能性が若干高まると言われていますが、医学的根拠は示されておりません。

妊娠した場合

胎嚢(胎児の袋)が見えるのは妊娠5週目頃で、心拍が確認できるのは妊娠6週中頃からです。当クリニックでは最大で妊娠9週目まで診ることができますが、それ以降はご希望される産院を紹介させていただきます。必要な場合には紹介状を用意いたします。

世田谷院「はじめての方へ」に掲載しております「ハイリスク妊娠」の場合、世田谷院への転院ができない場合がございます。

妊娠5週胎嚢 7.0㎜妊娠5週胎嚢 7.0㎜
妊娠6週頭殿長 5.5㎜妊娠6週頭殿長 5.5㎜

体外受精反復不成功におけるオプション

ここでは、複数回体外受精を行っても妊娠に至らなかった場合に実施するオプションについて説明させていただきます。

2段階移植法(2-step ET)

2段階移植法とは、採卵から2~3日目の4~8細胞期に1度目の移植をします。この時、移植する胚の数は1個です。残りの受精卵は、さらに2~3日間培養を重ね、5日目に2度目の移植を行う方法です。2段階で行うことによるデメリットは多胎妊娠です。また、受精卵が少ない場合は行いません。
この方法は合計で最低2個以上の胚を移植することになるため、複数回妊娠に至らなかった場合のみに可能な方法です。

アシステッドハッチング(AHA)

アシステッドハッチング(AHA)とは、受精卵の外を囲む膜(透明帯)が厚い場合に、透明帯を薄くすることでより着床を助ける方法をいいます。当クリニックでは最新の設備を用いて卵子へのダメージがないレーザーによるAHAを行っています。現時点で危険性の報告はありませんが、着床時に1個の卵子が分離して、1卵性双胎の発生率が若干上昇する可能性が考えられます。良好胚であっても、何度も着床しないケースや透明帯が厚いケースには、担当医よりAHAの提案をする場合があります。特に融解胚移植では有用です。

AHA施術前施術前
AHA施術後AHA施術後
AHA施術後の胚盤胞施術後の胚盤胞

誘発剤および採卵に伴う副作用について

体外受精における主な副作用は、多胎妊娠、採卵による出血・感染、卵巣過剰刺激症候群の3つです。

多胎妊娠

多胎妊娠は、移植数を1個にすることで防ぐことが可能(1卵性多胎は除く)ですが、万一、双胎になった場合、妊娠経過に大きな危険を伴います。そのため、現在は35歳未満の初回と2回目までの移植は1個の胚の移植という学会規則があります。それ以外の場合でも初回は一度に1個の胚移植が好ましいと考えます。
双胎の場合、ほとんどが帝王切開での出産となり、また流早産の危険性が上昇し、その割合は単胎の10倍近くといわれています。仮に早産で未熟児だった場合、将来に様々な後遺症が残る可能性もあるため、やはり避けたいことです。また現在では新生児集中治療室(NICU)が不足しています。双胎以上の妊娠になると、紹介できる施設が非常に少なくなることをご承知おきください。しかしながら、複数回妊娠に至らなかった場合、妊娠率の向上を目的に複数個の移植を希望されることは当然です。医師と十分に相談し決定することをおすすめします。

採卵による出血・感染

採卵による副作用は、腸などの臓器損傷、卵巣表面からの出血や感染です。採卵針は非常に細いのですが、やはり穿刺すれば卵巣表面から徐々に出血し縫わなければならない事態がまれに起こります。当クリニックでは過去に9万例以上の採卵を行っていますが、現在までに開腹手術を必要とした事例は1例のみとなっています。帰宅後に過度の痛みが生じ、安静や鎮痛剤の効果も不十分な場合には連絡のうえ、すぐに来院ください。診察の結果、腹腔内に出血が多く認められれば入院治療となる場合があります。

卵巣過剰刺激症候群

卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の作用で多くの卵胞が発育した場合に発生します。腹部膨満感、腹痛、無尿などの症状がある場合には検査を行いますのですぐに相談ください。個人差がありますが目安として15個以上採卵ができた場合に起こりやすいといわれています。ただし、当クリニックの採卵の多くは準自然周期法です。過剰な採卵数になることはほとんどありませんが、まれに少数の採卵でも卵巣過剰刺激症候群になるケースがみうけられます。

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