慢性子宮内膜炎の治療法
慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜局所の持続的な炎症を伴う疾患で、体外受精で複数回良好胚を子宮内に移植しても妊娠しない反復着床不全や、流産を繰り返す習慣流産の既往をもつ女性の約40~60%に認めます。ほとんどの場合が子宮内に細菌やウィルス感染が起きており、以下の方法で治療を行います。これは基本的な治療法になります。現在、慢性子宮内膜炎に対する検査および抗菌薬治療には保険適応がありません。
1. 薬の服用(抗菌薬治療)
2. 初回の薬の服用(抗菌薬治療)で改善しない場合
3. 2回の薬の服用(抗菌薬治療)で改善せず、細菌培養検査で原因菌が検出されない場合
薬の服用(抗菌薬治療)で改善しない場合、細菌やウィルスの感染が関係しない可能性があります。その場合、炎症性の高い子宮内膜を人工的に掻爬する必要があります。当院の治療では、子宮内掻爬術を行うと68%の慢性子宮内膜炎が改善し、その後77%の女性が妊娠しています。慢性子宮内膜炎が治癒しなかった女性でも50%の女性が妊娠しており、その多くが明らかな子宮内感染を認めていない女性でした。そのため子宮内掻爬術の当日に、子宮内感染の有無を詳細に見ることのできる子宮内フローラ検査を同時に行うことをおすすめしております。また2.1%の女性に子宮体癌も見つかっておりますので、病理組織検査も行います。
子宮内掻爬術後に1度月経が来てから、再度子宮内膜組織検査と子宮内細菌培養検査で慢性子宮内膜炎が改善しているか確認する必要があります。