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診療内容

無精子症

無精子症とは精液中に精子が全く見られない状態を無精子症といいます。精液検査で精⼦が確認出来ない場合、無精⼦症の可能性があります。
正式な診断としては、2回の精液検査で2回とも精⼦を確認できない場合に無精⼦症の診断となります。⼀般男性の約100⼈にひとり、男性不妊症の⽅では約10⼈にひとりの割合でみられるとされています。

精⼦は精巣内の精細管と呼ばれる組織で作られ、精管へ運ばれていきます。精細管の中で、精祖細胞という細胞が、セルトリ細胞から栄養をもらいながら、精⺟細胞、精⼦細胞へ成⻑し、精⼦となります。

無精⼦症は、⼤きく分けて下記の2つに分けられます。

  • 閉塞性無精⼦症:精巣で精⼦が作れているけど、通り道が詰まっていてでてこない
  • ⾮閉塞性無精⼦症:そもそも精⼦がうまく作れない

原因については様々であり、原因がはっきりしない事も多いのですが、精巣超⾳波、⾎液中のホルモン検査、染⾊体検査、遺伝⼦検査などを⾏うことにより、原因がわかる事もあります。しかし、染⾊体や遺伝⼦検査で異常があった場合、それを治療により治すことはできません。ただ、お⼦さまができた場合に、遺伝するような影響があるかどうかを知ることはできます。

精巣の中の精⼦を回収することができれば、その精⼦を⽤いた顕微授精で⼦供を持つことは可能です。精⼦回収の可能性については、術前に閉塞性と診断された例で90%、⾮閉塞性と診断された例で30%とされています。

原則として手術療法が唯一の治療法

閉塞性無精⼦症、⾮閉塞性無精⼦症いずれにおいても特殊な例を除き、薬物療法などの治療による改善の⾒込みはほとんどありません。

  • 閉塞性無精⼦症:可能であれば精路再建術、再建不能なら精巣精⼦採取術+顕微授精
  • ⾮閉塞性無精⼦症:精巣精⼦採取術+顕微授精

顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)新宿

顕微鏡下精巣内精⼦採取術(MD-TESE)とは、顕微鏡を使った拡大視野で精巣の中から直接精⼦を採取する⼿術です。2022年4月より保険診療が可能となりました。

精⼦や卵子を扱うスペシャリストが、採取された精細管を処理して、精⼦の有無を確認します。精⼦が確認できた場合は凍結を⾏い顕微授精に備えます。また、病理検査⽤の検体も採取し精⼦が確認出来なかった場合も、精細管の中がどのような状態であったか診断します。診断結果が出るまで2〜3週間程度必要です。

手術は麻酔科医の管理のもと日帰り全身麻酔で行います。手術中は眠っている状態なので、痛みを感じることはありません。術後は痛み⽌めを⽤いて痛みのコントロールを⾏います。術後の痛み⽅は個⼈差がありますが、1週間ほど経つと⽴ったり座ったりする時に少し気になる程度に落ち着いてきます。念のため術後は数⽇の休暇を予定しておくことをおすすめします。

注意事項

  1. 疼痛:キズあるいは陰嚢の疼痛が術後1週間程度はあります。
  2. 感染:感染予防のため、術前/術後は抗⽣剤を投与します。それでも極まれに感染をきたし、発熱や創部離開が⽣じることがあります。
  3. 後出⾎:⼿術中の出⾎は、電気メスなどでよく焼灼して⽌⾎し、⽌⾎を確認してからキズを閉じます。しかし、⽌⾎されていた出⾎部が術後に再度出⾎することがあります。
  4. 男性ホルモン(テストステロン)低下:精巣は精⼦を作る働きのほか、男性ホルモン(テストステロン)を作る働きもあります。⼿術によって精巣がダメージを受けるため、術後にテストステロン⽋乏をきたすことがあります。両側施⾏例や単精巣では術後再診時にテストステロンを測定します。
  5. 深部静脈⾎栓症/肺塞栓症:術中・術後の臥床によって、⾎栓が⽣じることがあります。⾎栓が肺の⾎管に詰まると呼吸困難、胸痛、ときに⼼肺停⽌を引き起こすことがあり、これが肺塞栓症で「エコノミークラス症候群」と同じものです。発⽣頻度としては 0.008%〜0.04%程度です。
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